イギリス・イタリア・アメリカ・日本のスーツの歴史を解説

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イギリス・イタリア・アメリカ・日本のスーツの歴史を解説

スーツの歴史は発祥地であるイギリスで16世紀頃から始まりましたが、日本のスーツの歴史は明治維新以降に異国文化として流入してきたところから始まります。 明治4年に発令された勅諭により、日本では礼服として洋服が着用されるようになりました。 礼服として着用されていた名残から、現代でもビジネスの場ではスーツを着ることが文化として残っています。 今回は、このように時代とともに変化しているスーツの歴史について詳しく説明します。 スーツの歴史について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

スーツ発祥の地であるイギリスとイタリア 産・アメリカ産のスーツ

まず、スーツ発祥の地であるイギリスとイタリア産・アメリカ産のスーツの歴史について解説していきます。

 

イギリスのスーツの歴史

スーツの原型は、19世紀ごろに生まれたといわれていますが、元々は16世紀ごろに誕生した「フロック」と呼ばれる服が起源だといわれています。 フロックは、ヨーロッパ圏の農民の外出時や農作業をするときに着ていた服のことで、丈が長いことが特徴です。 このフロックが、イギリスの職人によって高級な素材で仕立て上げられ、18世紀に「フロックコート」というものへ進化しました。 そして、シャツとパンツ・ベストにネクタイを合わせるというファッション法がフロックコートスタイルとして確立され、これが現代のスーツスタイルの土台となっています。

 

フロックコートを貴族が自分たちの服装に取り入れ、朝の散歩がしやすいように前裾がカットされたモーニングコートや、馬に乗りやすいように作られたテールコートが生まれます。 貴族が着用したことにより、これらの服装が礼服と認識されるようになり、現在でもその名残として正装としての役割を引き継いでいます。 また、フロックコートとモーニングコートは、どちらとも屋外での着用を目的としたものでした。 しかし、当時のイギリス貴族には1日のなかで何度も着替える習慣があったので、室内でもくつろぎやすい上着が必要になります。 その時に作られたものが「スモーキングジャケット」と呼ばれる食後の一服を楽しむときに着られる上着であり、現在のジャケットスタイルの原型になっているものです。 このようにイギリスのスーツには、当時の文化や習慣を反映しながら進化してきたという歴史があります。

 

イギリススーツの起源「サヴィル・ロウ」

続いて、イギリススーツの歴史の起源とも言える「サヴィル・ロウ」の紹介をします。 サヴィル・ロウはロンドンにあるストリートの名前で、紳士服のテーラー(仕立て屋)が多く集まる場所です。 イギリスの首都であるロンドンはスーツ発祥の地と呼ばれており、有名なテーラーはサヴィル・ロウに集まるといわれています。 サヴィル・ロウは、もともと軍事関係者やその親族らの居住区でした。 しかし、1760年頃から始まったイギリスの産業革命により、富を得た紳士階級の間で服飾に関する流行が生まれ、紳士服の聖地のようなな場所へと変化したという歴史を持っています。

 

イタリアスーツの歴史

イタリアのスーツの歴史が始まったのは1980年頃とされており、イギリスと比べるとまだ歴史が浅いです。 歴史が浅い理由は、1980年頃になるまでイギリスやアメリカなどのスーツ生産国の下請けを主に行っていたからです。 1980年頃からイタリアのものが人気になった歴史的な理由としては、1970年代にはじまるスーツのカジュアル化だといわれています。 イギリス発祥のスーツが貴族の礼服が起源だったため、上品さや教養が高いという印象を与える重厚感のあるものが一般的でした。

 

一方、イタリアには服飾に対して「自分の装いで異性からの目を引く」という考えがあります。 その考えをもとに作られたイタリア産のものは、イギリスのものと比較して柔らかく曲線的なシルエットで、軽めに仕立てられているものが多いです。 曲線的で洗礼されたデザインは色気や繊細な印象を与え、スーツのカジュアル化を含む世界的なファッションブームによって人気になりました。 イタリア産のものが人気になってからは、歴史をもつイギリスとスーツの代表的な国として肩を並べるようになりました。

 

アメリカのスーツの歴史

アメリカの国としての歴史は、17世紀にイギリスなどの西ヨーロッパから多くの移民がアメリカ大陸へやってきたこときっかけに始まります。 このような歴史的背景から、アメリカは民族的にヨーロッパの影響を強く受けました。 ヨーロッパから持ち込まれた文化の1つにスーツもあり、そこからアメリカのスーツの歴史が始まります。

 

アメリカが独自にスーツを生産し始めたのは20世紀からです。 当時流行していたジャズの影響を強く受け、ジャズをたしなんでいる人がよく着用していたスーツがアメリカでブームになっていきました。 アメリカで生産されるスーツは、一人ひとりの体形に合わせて仕立てるオーダースーツとは異なり、合理性を追求した大量生産が基本でした。 アメリカの伝統的衣装である「アメリカン・トラディショナル」や現代のUSファッションのベースを築いた「アイビー・リーグ」、ヨーロッパ調のスーツである「コンチネンタル」などさまざまなモデルが作られました。

 

イギリスやイタリアと比べ、既製服に多くのバリエーションを持たせていたこともアメリカのスーツの特徴です。 イギリスのスーツは高級品だと考えられていたので貴族のための服でしたが、アメリカのスーツは大量生産によって安価なので庶民のための服だったといえます。 アメリカが合理性を追求する文化を持っていることから、アメリカのスーツは「着やすさ」が重視されています。 そのため、イギリスのような礼服としての意識やイタリアのような異性へのアピールなどと比較して、ファッションに対する思い入れが弱い傾向があるのです。 そのため、現代でもアメリカのスーツは機能性重視に作られているものが多くあります。

 

 

日本のスーツの歴史

日本のスーツの歴史は、1858年の鎖国終了による外国との貿易開始をきっかけに異国文化として流入し、富裕層を中心に少しずつ着られるようになってきました。 英国ではスーツは紳士の装いとされていますが、日本で作られた当時はフロックコートが礼服として用いられました。 また、通勤着や日常着としてはジャケット・ベスト・スラックスがすべて同素材、同色、同柄で3点揃っているスリーピースと呼ばれるものが普及しました。

 

明治以降から戦前までのスーツの変遷

スーツが一般男性に広まり始めたのは、明治20年(1887年)の明治維新以降になります。 日本にスーツの文化がもたらされたのは明治維新以降でしたが、明治時代初期の日本人が着用していた衣服の大半が浴衣や着物などの和装でした。 しかし、明治4年(1871年)に出された勅令によって翌年から礼服として洋服が採用され、そのことをきっかけに大衆にも広まっていきました。 大正時代になると、第一次世界大戦の影響によって欧米諸国から日本への輸入がほぼ無くなります。

 

そのため、国内では重化学工業を中心に企業が相次いで生まれ、さらに海外需要は戦争品に大きく関わっていた海運業・造船業のものが急増します。 日本もイギリスと結んでいた日英同盟によって戦争に参加しますが、戦争の主要国ではなかったため貿易によるサポートが中心でした。 第一次世界大戦によって需要が急増した品目を中心に輸出することによって、日本は大きな利益を獲得し、それが大戦景気と呼ばれる歴史的な好景気に繋がります。 当時の日本では、スーツはすべてテーラーが個人の体型に合わせて作る高級品でした。 しかし、この歴史的な好景気は一般庶民全体に大きな経済的恩恵を与えたので、それにともない高級品であるスーツスタイルが大衆向けに一気に増えていきました。 1926年の昭和時代に入ると、第二次世界大戦をはじめとする戦争が激化します。 戦争の激化にともない物資が不足し始めた日本国内では、国家総動員法が1938年に出され、華美を慎む傾向が広がりました。 そして、昭和15年(1941年)に出された国民服令により、人々の衣服にも制限がみられるようになりました。

 

 

戦後から現代にかけてのスーツの変遷

第二次世界大戦が終戦した後は、機械の発達により大量生産が可能になったことから、スーツは一般的に広く普及していきます。 1960年代には、体のラインがわかるタイトなアイビールックが流行しました。 1970年代に入ると、襟幅の広いスーツに太いネクタイを合わせるスタイルが流行し、バブル期である1980年代以降にはダブルボタンの余裕のあるシルエットのものが流行しました。 その後、現代にかけてそのスタイルはタイトになっていきます。 使われる生地も、軽やかで滑らかなものが好まれる傾向があり、相手により自然な印象を与えられるスタイルが主流になっています。 貴族の礼服として歴史を始めたスーツは、いまでも男性ファッションの基本スタイルです。 スーツはこのように歴史とともにさまざまなスタイルが生まれ、変化しながら人々に愛され続けています。

 

 

スーツは文化や歴史的背景を反映して進化してきた

ここまでスーツの歴史について説明してきましたが、いかがでしょうか。 普段なにげなく仕事着や冠婚葬祭で着ていますが、明治維新を経てイギリスから日本にもたらされて以来、日本の歴史の変化と共にさまざまなスタイルを生み出しています。 人々の生活や流行とともに変化しつつ歴史を刻んできたスーツのことを深く知ることで、より一層愛着を持つことができます。 歴史について深く知ることで、自分が着用しているものの手入れをこだわることや、世界に1着の自分だけのオーダースーツを仕立ててみてはいかがでしょうか。 当サイトがおすすめするオーダースーツ専門店のテーラーは、皆さん歴史だけでなく仕立て方や生地の特性などについて豊富な知識を持っています。 もしオーダースーツに興味があるのであれば、ご利用することをおすすめします。

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