オーダースーツおすすめ完全網羅 比較ランキング50店 > コラム > KASHIYAMAは賢い選択か?最短1週間・3.3万円が変えるオーダースーツの常識
かつてオーダースーツといえば、「高級」「敷居が高い」「納期が長い」といったイメージが一般的でした。しかし、その常識を覆したのが、オンワードホールディングスを母体に持つ「KASHIYAMA(樫山)」です。
KASHIYAMAは、オーダースーツ業界に革新をもたらし、その勢力図を大きく塗り替えました。象徴的なのが、「最短1週間での納品」と「33,000円〜」という、従来では考えられなかった2つの要素です。
この仕組みによって、オーダースーツは一部の富裕層や愛好家のものではなくなり、時間とコストを重視する現代のビジネスパーソンにも身近な存在へと変わりました。
既製スーツと変わらない手軽さで、自分の体に合った一着を仕立てられる新しい体験が、多くのユーザーを惹きつけているのです。
とはいえ、疑問も残ります。この「速さ」と「安さ」は、果たしてオーダースーツに求められる品質や仕立ての深みと両立できるのでしょうか。
本記事では、KASHIYAMAのシステムがもたらすメリットと限界を客観的に検証し、実際のユーザー口コミも交えながら分析します。
KASHIYAMAは本当に賢い選択なのか、その答えを探っていきましょう。
目次
KASHIYAMAは、アパレル大手・オンワードホールディングスが展開するオーダースーツブランドです。
高価で納期が長いという従来のオーダースーツのイメージを一新し、最短1週間・3万円台〜という手頃さを実現。
その革新的な仕組みにより、若いビジネスパーソンや初めてオーダースーツを作る人から高い支持を集めています。
KASHIYAMAは、2017年にオンワード樫山の新プロジェクトとして誕生しました。
長年にわたるアパレル生産・物流のノウハウを活かし、「オーダーを、もっと身近に。」という理念のもとスタート。
ブランド名には、創業者である樫山純三氏の名が冠されており、伝統と革新の融合を象徴しています。
項目
内容
親会社
オンワードホールディングス(創業90年以上)
ブランド設立
2017年
目的
オーダースーツをより身近に、よりスピーディに提供すること
特徴
デジタル技術を活用した採寸・生産システム
この仕組みにより、KASHIYAMAは従来の「高級で時間がかかるオーダースーツ」という概念を根本から覆し、新時代のオーダースーツブランドとして業界に新風を吹き込みました。
KASHIYAMAのブランドコンセプトは、「すべての人に、フィットする一着を。」
この言葉には、より多くの人に、オーダースーツを身近に感じてもらいたいという想いが込められています。
その理念を実現するために、KASHIYAMAはデジタル技術とスピード生産を融合し、従来のテーラー文化とは一線を画すスタイルを築いています。
以下は、主要ブランドとの比較です。
項目
KASHIYAMA(樫山)
麻布テーラー / グローバルスタイル など
重視する価値
スピード・価格・利便性
クラシックな仕立て・職人技
採寸方法
デジタル採寸・オンライン対応
店舗での手採寸中心
購入体験
EC・アプリ完結も可
店舗での対面型接客
納期
最短1週間~
約3~5週間
主な顧客層
忙しいビジネスパーソン、初めてのオーダー層
こだわり派、リピーター層
つまり、KASHIYAMAはクラシックな高級スーツブランドではなく、合理性とスピードを求める現代人のための次世代型オーダーブランドです。
KASHIYAMAのサービスは、以下の3つの要素で成り立っています。
このように、KASHIYAMAは「コスパ」「スピード」「信頼性」を兼ね備えた現代のビジネスパーソンに最適なオーダースーツブランドといえます。

KASHIYAMAが多くのユーザーに選ばれる最大の理由は、その時間とコストに対する圧倒的な優位性にあります。これは、従来のオーダースーツのデメリットを根底から解消するものです。
一般的にオーダースーツの納期は3週間〜1か月以上が標準とされています。これは、生地の手配・裁断・縫製・検品といった工程に時間を要するためです。
しかし、KASHIYAMA(カシヤマ)はこの常識を覆し、最短1週間という短納期を実現しました。
このスピードを支えているのが、親会社であるオンワードホールディングスの生産・物流ネットワークです。
中国・大連に構える専用工場とデジタルで連携し、オーダー情報を即座に生産ラインへ反映する仕組みを構築。
さらに、国際輸送ルートの最適化により、発注から配送までを驚くほどスムーズに完結させています。
この短納期は、急なビジネスシーンに対応したい層や、時間を効率的に使いたい現代のビジネスパーソンにとって、他ブランドにはない大きなアドバンテージとなっています。
KASHIYAMAの大きな魅力の一つが、「クラシックスーツ 33,000円(税込36,300円)~」という圧倒的な価格設定です。
この価格帯は、大手紳士服チェーンの既製スーツと同等、もしくはそれ以下の水準に位置します。
要因
内容
① 直販モデルの徹底
企画・製造・販売・物流をすべて自社グループ内で完結し、中間マージンを削減。
② パターンオーダーの効率化
ビスポークのような手作業を最小限に抑え、デジタルデータを活用して効率的に生産。
③ 生地の大量仕入れ
オンワードグループの資金力と調達力を活かし、高品質な生地を低コストで一括仕入れ。
こうした仕組みにより、KASHIYAMAは「低価格でも高品質」を両立させています。
多くのユーザーが「価格以上の品質」「費用対効果の高さ」を実感しており、KASHIYAMAは初めてのオーダースーツブランドとしても選ばれやすい存在となっています。
KASHIYAMAの大きな魅力は、大手アパレルの技術力による高品質を、手頃な価格で提供している点にあります。
樫山グループが培ってきた縫製ノウハウと一貫生産体制により、他社の同価格帯スーツと比べても仕上がりの精度が高いのが特徴です。
ただし、この価格帯では主にポリエステル混紡素材が中心であり、素材面での高級感を重視する層からは賛否が分かれます。
こうした声からも分かるように、KASHIYAMAは低価格ながらもチープに見えない工夫を随所に凝らしています。
特に国内工場での丁寧な縫製や、体型補正を前提としたパターン設計によって、素材の限界を上手くカバーしている点は大きな強みです。
一方で、真に上質なドレープや艶感、長期的な耐久性を求める場合は、ウール100%やインポート生地(10万円前後〜)を選ぶと満足度が高まります。
つまり、KASHIYAMAの価格帯は、初めてのオーダースーツを体験する人や、コスパ重視で毎日使いたいビジネスパーソンに最適な選択肢といえるでしょう。

KASHIYAMAのシステムは、価格の手頃さとスピードの速さが大きな特徴です。
一方で、伝統的なビスポークのように一着一着を手縫いで仕立てるスタイルとは異なり、パターンオーダーの合理性を前提とした構造です。そこにKASHIYAMAの賢い妥協点が存在します。
KASHIYAMAのパターンオーダーは、採寸の丁寧さと補正の細かさによって、既製品との差を明確にしています。
スポーツ経験者など、胸板や太ももに特徴がある体型でも、5mm単位の補正が可能なため、KASHIYAMAは、体に合うスーツが見つからない人にとって最適解となっています。
短納期・低価格ながら、KASHIYAMAの縫製技術は業界内でも高く評価されています。
オンワード樫山の国内縫製拠点では、熟練職人による細部の手仕事が行われ、量産体制の中でも手作業の精度を保っています。
袖裏にはまつり縫いを採用し、直線ミシン仕上げよりも可動域を確保。腕の動かしやすさと着心地の良さを両立しています。
内ポケットの配置や裏地には放熱性・滑りの良いキュプラ素材を使用。見えない部分にも着心地への配慮が感じられます。
これらのディテールが積み重なり、ユーザーの多くが「価格以上のクオリティ」と評価しています。
KASHIYAMAはセミオーダーとして高い完成度を誇りますが、伝統的なビスポークの工程には及びません。
「いせ込み」や「フルキャンバス(本バス)」といった立体的な仕立て工程は、効率化の観点から省略されています。その代わりに、軽量で動きやすい構造を採用し、日常的に着やすいスーツに仕上げています。
配送時には特許技術「パックランナー」を用いてシワを防止。開封後はハンガーで約1週間吊るすことで、形が自然に整う設計です。
この仕組みは、コストとスピードを両立しつつも、着心地やフィット感を損なわないための合理的な工夫といえます。
効率化の中でも、着心地やフィット感への配慮が随所に施されている点が、KASHIYAMAの大きな特徴です。
KASHIYAMAのシステムを最大限活用し、最も満足度の高いスーツを手に入れるには、特性を理解した上での賢いオーダー術が重要です。
KASHIYAMAはオンライン注文にも対応していますが、初回は必ず店頭で熟練フィッターによる丁寧な採寸を受けることが推奨されています。
初回採寸で得られるデータには、体型の癖や姿勢まで考慮した情報が含まれます。このデータがKASHIYAMAのサーバーに正確に登録されることで、2着目以降はオンラインでも安心してリピート注文が可能です。
KASHIYAMAはリピーターにとって便利な仕組みを備えています。
一度採寸が完了すれば、日本国内はもちろん、世界中どこからでもオンラインで同じスーツや別デザインのスーツを注文可能です。忙しいビジネスパーソンにとって、時間や場所を選ばずオーダーできるシステムは非常に魅力的です。
基本的に担当者が変わらないため、体型の変化や新しいデザインへの挑戦も安心して相談できます。
オーダースーツは納品後も、体型変化や経年劣化に応じた修理(お直し)が必要です。KASHIYAMAでは公式サイトでアフターフォロー情報が少ない傾向があるため、オーダー時に無料修理期間や具体的なお直し料金をスタッフに確認しておくことが、長期的な安心感につながります。
KASHIYAMAはスーツだけでなく、トータルコーディネートに対応するアイテムも揃えています。
女性用スーツも33,000円〜提供されており、体型に合う既製品が少ない女性にとって貴重な選択肢となります。
11,000円〜で提供され、スーツと合わせてネックサイズや袖丈を完璧に調整可能です。これにより、トータルコーディネートが実現します。

KASHIYAMAは、革新的なシステムでオーダースーツの常識を大きく変えたブランドです。
従来は「高額で納期が長い」というイメージが強かったオーダースーツを、短納期・低価格・高フィット感で提供することで、ビジネスパーソンやオーダースーツ初心者に新しい選択肢を提示しています。
ただし、この利便性がすべての人に最適とは限りません。KASHIYAMAを賢く活用できるかどうかは、オーダースーツに何を求めるかという価値観によって左右されます。
KASHIYAMAの強みは、時間・コスト・フィット感を重視する現代人にとって大きな魅力です。特に以下のようなニーズを持つ方に向いています。
納期を急いでいる方や、既製品価格帯で最大限のフィット感を求める方に最適です。短納期でスーツを揃えたい人や、合理的な価格でオーダー体験をしたい人に向いています。
初めてオーダースーツを購入する若手社員や就活生など、オーダーに不安がある方におすすめです。高品質なスーツを低価格で手軽に試せる点が魅力で、学割を活用すればさらにコストを抑えられます。
既製品では体型に合わず、肩やウエストのジャストフィットを最優先したい方に好適です。特に胸板が厚い方や太ももがしっかりした方には、5mm単位で調整できるパターンオーダーが着心地を大きく改善します。
一方で、KASHIYAMAのシステムでは対応が難しいニーズもあります。以下の条件に当てはまる方は、他ブランドやフルオーダーを検討した方が良いでしょう。
手縫いの「いせ込み」や、芯地と生地を一体化させて体に馴染ませるクラシックテーラーの工程を重視する方。時間をかけた仕立ての芸術性を求める場合は、短納期のKASHIYAMAでは物足りなさを感じるかもしれません。
数十万〜数百万円クラスのインポート生地や、個性的な裏地・デザインにこだわりたい方。素材やデザインに惜しみなく投資したい場合は、より高価格帯のオーダーが適しています。
スーツを一生ものとして長期的に体に馴染ませるプロセスや、生地の経年変化を楽しみたい方には、短納期のKASHIYAMAは本質的な価値を十分に提供できない可能性があります。
オーダースーツ市場の変化を踏まえ、KASHIYAMAは伝統と革新の融合を軸に、より多くの顧客に最適なスーツ体験を提供することを目指しています。
KASHIYAMAは最新テクノロジーを積極的に導入し、精度の高い採寸と快適な顧客体験を実現しています。
店頭では熟練フィッターによる採寸に加え、AIによる体型分析や3Dモデリングで完成イメージを視覚的に確認可能です。
さらに、初回採寸データをサーバーに保存することで、2着目以降はオンラインでも簡単にリピート注文ができます。忙しいビジネスパーソンにとって、時間や場所を問わないオーダー環境は大きな利便性です。
環境配慮型素材やエコ仕立てへの関心が高まる中、KASHIYAMAも今後導入を進めていきます。
リサイクルウールや軽量・伸縮性素材を採用することで、環境への配慮と快適な着心地を両立。低価格帯でも品質を損なわず、持続可能なオーダースーツ体験を提供することを目指しています。
リモートワークの普及やカジュアル化に伴い、スーツに求められる機能や着心地も変化しています。
KASHIYAMAではストレッチ素材や軽量生地を採用し、長時間着ても疲れにくく動きやすいスーツを提案。オン・オフ兼用で着られるデザインも増やし、現代の働き方に合ったスーツ選びをサポートします。
これらの取り組みを総合して、KASHIYAMAは「素材・サービス・顧客体験」の3軸でブランド力を強化。
新素材の導入や体験型フィッティング、オンラインリピート注文の拡充により、来店・オンラインを問わず、すべての顧客に快適で便利なオーダースーツ体験を提供していきます。
KASHIYAMAの最大の特徴は、オーダースーツを特別なものから日常的に手に届くものへと変えた点です。低価格・短納期でオーダースーツを体験できるのは大きな魅力ですが、その利便性には当然ながら限界があります。
安さとスピードを優先した結果、生地の高級感や仕立ての深みは犠牲になっていることを理解しておく必要があります。つまり、KASHIYAMAのスーツはオーダースーツの入門としては優秀ですが、クラシックテーラーや高級オーダーの代替にはなりません。
KASHIYAMAは便利で手軽なオーダースーツの入り口ですが、価格相応の妥協点を受け入れられる人でなければ満足度は限定的です。単に利便性だけに頼るのではなく、自分に合ったオーダースーツの最適解を見極める姿勢が求められます。
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